ネット上では賛否両論をよんでいる本作ですが個人的にはすごく面白かったです。3時間と長編ですが、1秒たりとも中だるみせずノンストップでテンポも良かったと思います。
今回のバットマンは過去シリーズよりもダークな印象で闇を抱え苦悩しながら戦うロバートパティンソンの怪演が良かったしDCの持つ世界観にマッチしていました。当たり前ですが、TENETの時の彼とは全然違い、まるで少年漫画の中盤あたりで両親殺されて闇落ちして目の色が変わった主人公くらいダークで他人と距離をおき、影があり復讐に闘志を燃やす演技が素晴らしかったです。ここ最近のDC作品はマーベル作品を真似して中途半端にユニバース化している作品が多かったですが、「ジョーカー」やこの作品のように、DCはユニバース化せず単発でストーリーを綺麗に完結させてくれる作品のほうがDCの良さがより出ているように感じます。
犯人が次々と繰り出す謎を解いていく過程とかも脱出ゲームや謎解きを主人公達としている感覚に近くて楽しかったし、そういったパズルのピースが最後の展開に繋がっていく展開も魅力的でした。また、敵もキャプテンアメリカシビルウォーのジモを彷彿とさせるような一見普通の人だけど心にかなりサイコな一面を持ち合わせていて、次々に政治家や国の上層部を残虐なやり方で殺害していく様もこれぞDC!という感じでうまくマーベルとの差別化が出来ていたのが好印象で僕自身がDC作品に望んでいたものが凝縮されておりました。また、そう言ったサイコなヴィランを生み出してしまったゴッサムシティのかなりヤバい闇やヴィラン側の背景等もきちんと描かれている所も良かったです。
後半も予想もつかない怒涛の展開でこれはどう考えてもバッドエンドで胸糞のまま終わるでしょ!!??と誰しもが思う流れでしたがそこからうまく綺麗に話をまとめていて、まさかの予想外の終わり方でした。
あと、なんと言っても劇中の音楽も素晴らしかったです。ハリーポッターやジュラシックパークといった良い映画のバックグラウンドミュージックって頭に強い印象を与えておりますが、それに匹敵するくらい、あのバッドマンが登場する度に流れる絶望感を漂わせるダーンダーンっていう音楽が根強く頭に残っております。(家に帰ってからYouTubeでサントラリピートしております。)
まとめると、3時間ノンストップでどうなるのか予想もつかず、ハラハラドキドキしながら楽しむことができました。日本では賛否両論で興行的にはイマイチのようですが、海外では大ヒットしているようで納得できます。やっぱ日本はダークな作品は好まない傾向にある。悪い言い方をすればアニメ映画が代表的ですが王道の明るくハッピーエンドな映画を求めているように感じます。ただ、今の少々心に闇を抱えている自分にとってはダークなDCの世界観をフルに活かした本作品はかなりド直球で求めていたものが全て詰まっていて非常に楽しめました。
ただ、1点だけ違和感があったのが、そんな背景ないのに急なブルースの恋愛描写がぶち込まれていたので、そこは物語上不必要に思いました。親を殺されて復讐に燃える闇のヒーローが唐突に恋愛するのはどう考えてもおかしな流れで非常に違和感を感じました。そこを除けばパーフェクトだったと思います。